食べるということ

現在、仕事をしぼったので、カレー関連のことばかりやっている。すなわち食べることを考えることだけが仕事になった。幸せなことだ。

わたしは食べることが好きだ。美味しいものを食べることが、料理するよりも好き。時間がなくても美味しいものを食べたい。これが食べたい!って思ったら、途中下車してもそれを買いに行く。つい先日も梅田でイベントを終え、大阪から新大阪へゆき、そのまま新幹線で東京まで帰ろうとした。大阪駅から在来線に乗ったら、ほんの一駅の間にドーナツがどうしても食べたくなり、それはどうしてもクリスピークリームのものでなくてはならなかった。なので、一度新大阪で改札外に出て、クリスピークリームでドーナツを買ってから、再度改札を通った。我ながらばかみたいだ。だけど、どうしても食べたかったのだ。

食べたい衝動に素直な食いしん坊。そんなわたしが料理することを覚えてしまった。料理するよりも食べることが好きだけど、その差は年々ちょっとずつ埋まってきている。特に最近、栄養のことを考え出してからは、自炊する回数がぐっと増えた。味付けは薄め、自分の好きなものに忠実に、且つバランスよく食べること。今日の夜はキッチンの残り物でまかないを作った。空芯菜と海老の黒酢チャーハン。そして小さいきたあかりをコトコト茹で、氷水に浸して皮をむいておいた。これは明日のまかないでトマトスープの具として、入れよう。食べるものがいくつかあることは、とても満たされた気分になる。難しいことはしなくても良い、その分素材にこだわれれば、いつだって十分に美味しいものを味わえるのだ。

そんなわたしの考えを後押ししてくれたのが、桉田優子さんの『食べつなぐレシピ』と川村明子さんの『日曜日はプーレ・ロティ』だ。この二冊は舞台は違えど、内容は似ている。どちらも日々工夫して食材を無駄なく食べるためのエッセンスがつまっているのだ。がっちり作らずとも、わくわくする食卓になれる。そんなお二人の熱い気持ちが伝わってくる。ときにわたしはパリジェンヌのようにフルーツを常備し、ハーブをペーストにし、ドレッシングを作り、バターをつけたパンを無造作にお気に入りの器において日常を彩る。ときにわたしはせいろを楽天市場で物色し、カートに入れ、どんな野菜や豆や雑穀を蒸そうか考え、塩豚を仕込みながら茹で汁に残り物の野菜を入れ、最低限の塩を入れスープとして楽しんだりする。