人気店

横浜市にあるPongeeというワークショップを開催する空間がある。夏祭りのイベントがあり、and CURRYも参加してきた。


他にもいろんなお店が出店していたのだが、その中の一つ、「タケノとおはぎ」。桜新町にあるおはぎ専門店だ。予約だけでイベント分のおはぎは完売。お店にももちろん行列ができている。

美しさと素材の組み合わせ、曲げわっぱでの提供やマスキングテープを選べるところ。行き届いている。人気店と言われるお店は、細かいところまで行き届いているのだ。視覚を通して美しいと感じ、素材を知って食べてみたいと思い、これから会う誰かを思い浮かべてマスキングテープを選ぶ。楽しいことしかない。みんながこぞってこのお店に行きたくなるしかけがたくさんある。そして何より美味しいし、また別のおはぎを食べてみたいなっておもわせてくれるのだ。

夏祭りの空間で、おはぎとともにカレーを提供できたことを光栄に思う。

一方で「世田谷の人気店のカレーが食べられますよ」と謳われると、わたしの心は縮こまってしまう。人気店?記帳をしにきてくださる方もたくさんいらっしゃるし、おいしいと言っていただけることもありがたいことに少なくない。

だけど。「Kitchen and CURRYは人気店ですか?」と聞かれたら、「はいそうです」と答えていいのだろうか。誰もお客様のいない時間帯もあるし、カレーが売れ残る日もあるよ。

土曜日の梅田でのトークイベントで、尊敬する水野さんから「and CURRYのサクセスストーリーを聞かせてよ」とおっしゃっていただいた。サクセス・・・すなわち成功なのだが、わたしは成功しているつもりなんてまったくないから、たじろいでしまった。言い訳がましく「成功してるかどうかはわかんないんですけど」と枕詞をおいて話をした。


人気店(かもしれない)ということも、成功している(ように見える)かどうかも、きっと本人が決めることなんじゃなくて、他人が客観的にみて判断をすることなのだろう。そして、自分で人気店だ、成功してます、と表明することはなんだか具合が悪い。どこからが人気店で、どんなことをすれば成功者という名札をつけられるのか。境界線について頭を巡らせてみた。

突き詰めて考えるとどうでもいい。人気店であったとしても、明日人気が終わるかもしれないし、現在成功していたとしても、明日失敗するかもしれない。やりたいことはまだ少ししかできていないし、やらなければならないことも、やりたいことも山積みだ。やりたくないことをできるだけやらないようにするということも考えなくてはならない。不安はいつまでたっても消えないし、わくわくすることも積読の本棚のようだ。人気店かどうか、成功してるかどうかなんて関係ない。目の前のことやらないと何にも前に進まんぞ。

考えた結論はいつもそこに行き着く。でも忘れた頃にまた考え始めてしまうのは、きっと他の人の目を気にしてしまっているのだろう。そして自分の目も気にしてしまっているのかもしれない。