伝わる

ラフォーレマーケットに参加していた二日間が終わった。妹に手伝いに来てもらい、仕込みを含めると丸三日。久々の大型イベントで、体力的にはかなり疲れたけれど、とても良い出会いがあり、素敵な時間を過ごすことができた。

いつもキッチンに来てくださるお客様と原宿で出会えたり、新代田はちょっとハードルが高いので原宿に来たよという初めてのお客様と出会えたり。ずっとももしんのブログを見ていたよという方も来てくださったりで、嬉しい気持ちがドミノだおしのようだった。出展者の方々も楽しい人たちばかり。みんな意気投合して互いのブースを行き交い、あたらしい企画の話になったり、美味しいものを交換しあったり、キッチンだけだと起こりえないand CURRYの表情を垣間見れたのである。and CURRYを始めたのはわたしだけど、これまで活動を重ねて来て、もう一人だけのものではないなという心持ちだ。わたしの知らないところで誰かがand CURRYの話をしてくださるのが嬉しい。カレーを通して、食べることの楽しさや、食べることで自分が作られていることの面白さを感じてもらいたい、と言ったら大げさだから、あくまでも自分が楽しい、面白い、美味しいと思うことを形にしていくことだけにこだわりたい。人に何かを伝えたいとか、そういうことはわたしにはできない。伝わるべきことは勝手に伝わるべき人に伝わるのだ。

充実感のある疲れを伴い帰って来て、少し眠ったら、いままさに東南アジアを旅している人に影響されて急にタイ料理が食べたくなった。わたしが知る限り日本でナンバーワンのタイ料理レストランが笹塚にあり、そこに妹と向かった。上京して来た時からなんども来ている大好きなお店。長年勤めてるスタッフさんは名前こそ知らないが、久しぶり〜といつも挨拶をする。

「このお店に何年通っていますか?」

とスタッフさんに聞かれ上京してから12年くらいかなと答えた。長い間お世話になっているものだと感慨深くなっていたところに、「今日が最後かもしれないね」と言われて言葉を失った。このお店今月で20年の歴史に幕を降ろすそうだ。とても寂しくなった。今後、タイ料理を食べたくなったらどこで食べればいいんだろうと、露頭に迷い、今日行かなければ知らずにさよならをしていた可能性があったという綱を渡るような感覚を抱いた。

伝わるべきことは勝手に伝わるべき人に伝わるのか。何かを継続し重ねていくことの過程にある様々なことに思いを馳せた。and CURRYはどんなふうに続いていくのだろう。続いていけたらいいな。